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地元で伝説の野球選手となった超人の話~その2~

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地元の中学野球部でも活躍していたUさんは、全国の強豪高校から特待生として入学しないかというオファーが殺到した。

 

しかし、Uさんはどうしても行きたい高校があった。

PL学園だ。

 

当時のPL学園は清原・桑田のKKコンビを輩出してから日本全国の中学野球の子供たちが憧れる、高校野球の最高峰だ。
入部してレギュラーになろうものなら野球人としての人生は決まるし、PL学園の野球部というだけでスーパースターと言われる。
Uさんも当然のように憧れを持つのは仕方ない。

 

しかし、全国各地の強豪高校からオファーがあったUさんだが、なぜかPL学園からはオファーはなかった。
本人曰く「小学校や中学校の素行まで調査されていたのだと思う」とのことだった。

PL学園はスカウトマンまで揃っていた。
スカウトマンは選手としての能力はもちろんだが、その選手の人格なども見るし、家族構成や親の仕事まで調査する。
片親だったUさんだが、荒い気性は知れ渡っており、どうしても伝統や規律を求められるPL学園には相応しいとは思われなかったのだろう。

 

そこでUさんは、中学3年生の時にPL学園に体験入部に行った。
そこで全国各地から集まったエリートと呼ばれる選手の中で野球をやったのだが、「自分は井の中の蛙だ」ということを知ったという。

憧れていたPL学園に入学する気力が少し失せかけた時、それでもしつこく声をかけたのが地元の都道府県で最も甲子園に出場している高校だった。
Uさんは、「仕方なく」その強豪校に入学することになる。

 

肩の強さと負けん気、そして天性の統率力を買われ、高校ではキャッチャーに転向することとなった。
しかし、同級生に同じ特待生で優秀なキャッチャーがいたためレギュラー争いをすることに。

もちろん、甲子園には余裕で出場が決まった。

実力から言ってレギュラーだと思われたUさんだが、練習態度などはまったく評価されず、第二捕手となった。
足も速いため代走にも使えるし、一発を持っていたから代打としても重宝される。
捕手は捕球力や試合を読む力が培われるために、万が一は一塁手としても使える。
補欠というよりも秘密兵器を抱えた常勝軍団が完成していた。

 

しかし、勝負は時の運も左右する。
甲子園では活躍することができなかった。

プロ志願届を出すことも考えたが、練習はもうしたくない。
野球は楽しいし好きだけど、注目されることにも疲れた。
成功すると思っていた野球では花咲かすことができず、青春を謳歌しないまま就職するのもどうだろう・・・

数々の大学や社会人チームからオファーがあったUさんは、大学進学して適当に野球をやって、楽しい大学生活を過ごすことを決意する。

 

東京の私立大学に野球の特待で入学することになった。

 

如何にしてサボったり仮病を使うことに神経を使っていた高校時代の野球とは違い、大学の野球は本格的だった。
ノックやティーなどを全員でやることもあれば、練習には高い自主性が求められるためウェイトトレーニングなど個人的な練習も個々は行う。

青春を謳歌するために入部したUさんは、必要不可欠な練習や試合以外は遊びに汗を流した。

不思議と、周りが練習しているときに自分が遊んでいると野球が恋しくなる瞬間があったそうだ。
同じようにプロに行けなかった選手が練習していると、自分が置いて行かれるような気がした。

次第に、また野球の練習を本格的に行うようになる。当然、遊びの楽しさも知っていたため、遊んでいるか練習しているか、そんな大学時代になったという。

 

大学野球では、のちにプロで活躍するような選手と多く対戦した。
キャッチャーというポジションだったので、ライバルチームの選手はチェックしなければならなかった。
その中に、今でもプロで活躍する選手はいる。

 

大学では遊びながらでも野球選手と成長するのではないかという期待を持っていたUさんは、期待通り徐々に頭角を現しレギュラーを確立。
キャッチャーでありながらパワーヒッターで、本塁打争いもしていた。

 

ある日の中央大学との試合だった。
その頃から有名だった選手がいた。体格は似ているし、Uさんと同じパワーヒッター。同じキャッチャーというポジション。
大学野球時代に最も意識していた選手だ。

初めてバッターボックスに迎え、既に十分チェックしたが目の前でスウィングするのを見るのは初めて。
どんなものかと思っていたが、想像を遥かに超えるスウィングを見て思ったことがあったという。

 

「こういう人がプロに行くのか。プロはこの人のレベルの世界なのか。」

 

その選手の名前は阿部慎之助。
Uさんは、阿部慎之助のスウィングを見て、野球を辞める覚悟を決めた。

幼少期から自分は特別、センスの塊、さらに地獄のような練習をさせられた一方、いくらサボっても結果を出してきた。
そんな彼が見たホンモノは別次元だったらしい。

 

特待生として大学に入ったUさんは野球部を辞めることができなかったが、自分が野球で生きていくという選択を辞めた。

 

そして、大学時代は野球の練習はサボるようになり、遊びに暮れるのである。

 

 

地元で伝説の野球選手となった超人の話~その3~に続く。

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